私どもでは、チェックインからチェックアウトまで一人の客室係が接客やおもてなしをいたしますので、時にはいろんなクレームを受けてしまうこともあり大変だと思います。しかしながら、そうしたクレームにも誠心誠意対応しておりますと、帰りの際には「本当によくしてくださいました。ありがとうございました」と、心から感謝の気持ちをいただけます。そんな時には、これまでの仕事の大変さが吹き飛び、晴れ晴れしい気持ちになって本当にこの仕事をしていてよかったと思えます。この仕事の魅力ややりがいは、まさにその瞬間にあると思います。
私は、旅館は家、そしてスタッフは子どもだと思っております。それなのでスタッフにはいつも「大事なお客さまを自分の家に迎えるように接客してください」と話しています。そうすると接客していても、温かく優しい気持ちになれると思います。お客さまからも「故郷の家に帰ったような気持になれ、ほっとする」という声をいただきます。この家と思える働きやすい環境のもとで、子どもたちにのびのびと一生懸命仕事をしてもらい、成長していく姿を見守っていきたいと思っています。また、みんなが楽しく仕事できるよう、スタッフの健康面などにも気をつかいながら、全般的にサポートしていくのが私の役目だとも思っています。
この仕事は、さまざまなお客さまに満足していただくために100人100通りのサービスが求められます。そのため、スタッフそれぞれが自ら考えて行動し、自分らしいサービスができるよう指導させてもらっています。それはすごく難しいことなのですが、みなさん3年くらい経つと自分なりの仕事の仕方を見出し、ひと通りの仕事がこなせるようになるんです。そこで、リーダーになってもらったり、フロントを体験してもらったり、リクルートの手伝いをしてもらったりと、その人に合わせたフィールドを用意し、モチベーションを下げずさらにステップアップしてもらえるよう工夫しています。また、新入社員の方には仕事に馴染みやすいよう、比較的社歴の浅い人とペアを組んで仕事を覚えてもらうシスター制も導入しています。
「お客さまの喜ぶ顔がみたい」「お客さまが喜ぶ姿を見ると自分もうれしくなる」そんな気持ちを持った方なら、誰でもこの仕事にやりがいを感じ、毎日楽しく働いてもらうことができると思います。接客係は女性ならではの仕事と思われがちですが、肉体労働の側面もありますので、男性のほうがいい場面もあります。最近は男性の接客係も増えてきていますので、男女関係なく接客が好きで、おもてなしの心を大切にしている人たちと一緒に仕事ができるのを楽しみにしています。
(株)サン浦島:
代表取締役社長 / 女将